「宿題をやらない子にはどう言ったらいいですか?」
という質問に対して、青山学院大学の駅伝部監督の原晋氏が、「何も言わない。失敗させればいいんです」と言ったというTV番組の紹介記事を見ました。
私はこの考えにどちらかと言えば賛成なのですが、コメント欄を見ると結構批判的な意見が多いようですね。
失敗しても気付かないとか、困るのは親であって、本人自体は困らないとか、そんな意見が散見します。
なかなか響かない子というのは、私も経験上一定数いるのは知っていますから、この意見もよくわかります。
また、親の立場からすると、できれば失敗させたくない、今の社会が変わりつつあるのはわかるけど、やっぱり良い学校に行ってもらいたい、安定した仕事について欲しい、といった思いは変わらないのでしょう。
だからこそ学校は、失敗する場であるべきだ、と思っています。
そこに存在価値を見出さなければ、本当に学校は必要のない場所になると思うのです。
原晋氏はこの記事の中で次のようにも述べています。
間違いに対しての指導が3つある。
・シンプルミス
・システムミス
・チャレンジミス
の3種類だ。これらの失敗を見極めて対応を変えることが必要だ。
指導の仕方として、
・横着、勉強不足、準備不足で起こり、防ぐことができる「シンプルミス」に対しては厳しく指導
・メカニズムの影響による失敗、目標設定の誤りで起こる「システムミス」に対しては仕組みや外的原因について話し合いを持つ
・「チャレンジミス」については原因を把握し褒める
TBS「初耳学」より
これらについては、私が日頃から学級経営で意識している指導の仕方と同じだなと感じました。
間違いにも種類があって、どんな間違いだったかを子どもたちに考えさせる時間も与えていました。
小学生の子供は、「シンプルミス」で指導される場合が多いのですが、「シンプルミス」については個別に指導して、「システムミス」や「チャレンジミス」については、学級全体に返して考えさせる時間を取るように意識していました。
「◯○のような失敗はどのようにすれば防げると思う?」
「○さんは失敗したけど、今まで自分ができなかったことに挑戦していてすごいよね」
すると子どもたちは自然に、
「こういうミスはしてもいいんだ。次に生かせばいいんだ」
という気持ちになっていきます。
失敗することで学ぶことが必ずあるはずです。
ただ、ここで大切なのは、失敗ができる安心感や自己肯定感がなければ、子どもたちはなかなか進んでチャレンジしてくれないということです。
学級経営で絶対におさえなければならない大切な部分です。
ミスを笑ったり、小馬鹿にしたりするような子を厳しく指導し、周りにも何が正しい見守り方なのかをしっかりと意識させる必要があります。
これがうまくいかずに、やりたい気持ちはあるんだけど、なかなか積極的にならない子が増えていく学級がたくさんありますね。
本人の性格や性分ももちろんありますが、周囲の環境を整えることで、積極性やチャレンジ精神を伸ばしていくことはできると私は思っています。
学校は社会の縮図だと以前述べたことがあります。社会生活の中でたくさん失敗できる場なのです。
ここで失敗したことを、大人になり本当の社会に出た時に生かせれば、学校で学んだ価値というのがあったと言えるのではないでしょうか。