叱るのって難しいですよね。
親の子育ての立場からすると、叱るのは今はあまりしない方がよいとされていて、自分の気持ちを伝えるようにしましょう、みたいなことを言われることが多いですよね。
ただ、そうも言っていられないのもわかります。
周囲の目があるからです。
この親は全然叱らず自分の子供を放置している。
周りに迷惑をかけているのも関わらず、なんてことを思われたら嫌ですからね。
実際そのように見る人はやはり少なくないようで、ネット上でもそのような意見を述べる人は多いようです。
小さい子供が何人もいると、叱らないわけにはいかない。
きょうだい喧嘩の仲裁をしている時間がそもそもない、という家庭もあるでしょう。
また勉強熱心な親ほど、叱らない子育てをしたいと思っているはずです。
育児本では、頭ごなしに叱っても、怖いという感情だけが残って意味がないなどと書いていますからね。
親の思いとは裏腹に、自分の子はどこ吹く風でその場で騒いだり汚したりしているのを見ると、気持ちの面でも落ち込んでくるかもしれません。
この親の子供が、保育園や学校で、大声で怒鳴って叱るようなタイプの先生が担任になったらどうなるでしょうか。
もしかしたら、園や学校にクレームをつける子もしれません。
責められないですよね。
親は親で自分の方針があって努力しているのです。
このように、今の世の中では「叱ること」についてより厳しい目が向けられている、と言っても過言ではないでしょう。
さて、このような状況の中で、学校は今どうでしょうか。
特に若い先生方は、「叱る」ことに対して苦手意識を持っている人が多いように感じます。
もしかすると、自分自身もあまり叱られた経験がないのかもしれません。
担任が子どもたちとうまく接することができずに、
うまく叱ることができずに、学級が乱れてしまう。
叱らないかわりに使うべき指導の方法をうまく使えず、学級が乱れてしまう。
指導すべき場面をうまく見極めることができず、学級が乱れてしまう。
そんなことが多く起こっています。
「危ないからやめようね」
「そんなことするなんて、先生悲しいよ」
「ここでは声のボリューム1で。静かにしましょう」
このようなことを言っても全然聞かない学級もあります。
適切な叱り方をすることが、やはり必要なのだと私は思います。
ではどのようにすればよいのでしょうか。
学級担任は「叱ることがある」ということを、子どもたちにも保護者にもしっかりと知らせる必要があるのです。
①命を守らなければならないということ
②多くの人たちを動かしていく必要があること
③「正しいこと」を教えていく場であること
これらを実行するために、時には叱ることがあるのだ、と言うことを伝えていくのです。
この先生はこういう時には叱る、というのが子どもたちや保護者に伝わり、その方針が理解されれば、学級はうまく回っていくはずです。
逆に言うと、叱らない場面では、生徒指導の基本である傾聴「しっかりと話を聞く」ことが大切です。
子供の納得感を得るような話の聞き方や指導の仕方ができているかがポイントだとも言えます。
よく、厳しいのに人気がある、という先生がいますが、そういった先生はこれがうまくできているはずです。
若い先生方もそうなれるように、自分も微力ながら手助けしたいと思っているのです。