私の住む地域では、職員室の先生方のうち、半分くらいの方が親も学校の先生をやっている、という人が多いです。
これには2つの理由があると思います。
一つは先生という職業が子供にとって魅力的に映ったこと。
もう一つは学校の先生という職業しか、親も子供も知らないことによる
「なんとなく先生になろう」という動機。
他にも理由はたくさんあるでしょうが、私が聞いた話はこの2つの理由が多いです。
で、現在。
学校の先生という仕事を自分の子供に勧められるか、というとやはり勧めることはためらいますね。
今住んでいる場所は地方の田舎ですから、教員という仕事は周囲より給与面で恵まれていることは確かですが、仕事の実態を考えると、違う仕事をした方が、もっと極端なことを言えば、都会に出て好きな仕事をした方がいいなとも思います。
自分自身はというと、この仕事をしてきてよかったなと思うことはたくさんありました。
人や世代のつながりとか、季節毎の感動などはこの仕事ならではと思います。
よかったなと思うことは多いですが、それまでの道のりを考えると、かなり精神的にきつかった時期もありますし、理不尽な思いをしてきたこともありました。
これと同じような思いを自分の子供がすると思うと、やはり違うことをした方がと思うのです。
それでも、私が買い物などに子供を連れていくと、どこからともなく、
「先生!」
と声をかけられることがあります。
過去の教え子たちや保護者だったりするのですが、そのような場面で話をしていることが、特に長男あたりには魅力的に見えるようで、
「学校に行きたいなあ(職場に行きたい)」
と言うことが多いです。
決めるのは自分自身ですから、親がとやかく言う筋合いではないのですけどね。
・時間的にゆとりがあること(時間外勤務が少なくてすむこと)
・理不尽なことは理不尽だと言えること(我慢しなくていいこと)
・休みが取りやすいこと(代わりの人が必ずいること、責任を一人で抱えなくていいこと)
などがクリアされればいいのかなとは思いますが…
とにかくそれでも先生になりたいと思ってくれる人はいて、私の教え子にも来年度教員になる子がいます。
やはりうれしいものです。
やりがいを感じて仕事をしてほしいな、と心から思います。
もう一つの視点で私自身の考えを言うと、「世襲ばかりの業界にならないでほしい」という思いです。
いろんな幼少期を過ごした方々が学校の中で活躍してほしいという思いもあります。
私自身、教育業界とは親も全く関係していませんでしたし、むしろ今どうしてこの仕事をしているのかというぐらい、教員への動機は曖昧なものでした。
しかし、だからこそ見えることがあります。
学校の常識を疑ったり、少し違った角度から考える癖がついているのです。
いろいろな経歴を持った人の話は魅力的です。
今の職場でも、経歴が変わっている先生もいるのですが、そういう先生の話は本当に面白いです。
一度社会人になった人でもいいし、いじめられた経験がある人でもいいでしょう。
人に自慢できる実績が無くてもいいのです。私もそうですから。
ただ、自分の色々な経験を伝えられる人が、学校の先生になってほしいなと思います。
子どもたちにとって身近な人の体験を聞くことは、たとえ間接的ではあっても「経験すること」がつながるのですから。