学級経営をしていて、担任の方針が子どもたちに伝わっていないなあと感じる時があります。
なかなか注意しても伝わらない。
うんうんと返事はするもののそれが実行に移らない。
なぜ、子どもたちはわかってくれないのだろうか?
自分の言うことを聞いてくれないのだろうか?
そんな経験をした教員は多いはずです。
私なりの経験から、少し意見を述べていきたいと思います。
まず前提として言えるのは、学級担任、いわゆる先生と、子どもたちとは考える視点が違うということです。
もっとはっきり言えば、子供にとっては「学級経営」なんてものは、はっきりいってどうでも良いものだ、ということです。
子供が学校に登校しているモチベーションは多様です。
学習しに来ている子もいれば、休み時間に友達と遊ぶために来ている子、給食を食べるために来ている子、親に行けと言われているから来ている子もいれば、なんとなく来ている子まで様々な理由があります。
そもそも担任とは前提が違うのです。
子供には比べるものもありませんから、自分の学級が全てであり、それが良いか悪いかの判断も自分ではつかないのです。
ですから、学級のために何かをする、学級全体がうまくいくように考える、なんてのは担任側からの考えであり、子どもたちにとってはそれは二の次でしかありません。
しかし、そこを考えさせる事ができれば、子どもたちを変えることができます。
そして、考えさせるには、「考えてみたい」「考えなきゃいけないかも」「考えた方がきっといいはず」と感じさせるしかないのです。
ではここで、私たち大人は、どんな人を信頼・信用するか考えてみましょう。
①結果が出る。(儲かる)
②憧れる。(かっこいい、かわいい)
③社会的な地位がある。
④周りがみんなその人を認めている。
⑤自分を理解してくれる。
⑥理不尽な厳しさがない。
⑦自分が成長できる。
⑧親近感がある。
子どもたちにとって学級担任も、上に挙げた例のどれかに値する人にならなければならないのではないかと思います。
子供にとって魅力ある人間でなければ、表面上の関係しか築けないのではないかと思うのです。
私は①と⑥を特に意識しています。
自信のある分野で、子どもたちに「先生ってすげえな」と思わせる場面を意図的に作るようにしています。
特に算数や社会の授業でそんな場面を作っています。
覚え方のコツや豆知識などをありがたくなるように演出して(笑)、教えることもありますね。
⑥については、「厳しさに理由がある」と捉えています。そして、やるべきことをやれば、その見返りがあるということも実感させるように意識しています。早く終われば、ミニゲームをするとかですね。
ただ、若い頃から先輩の先生方によく言われたのは、
「全員に伝わっていると勘違いするなよ、お前を好きじゃない、合わないと感じている子も2割から3割いると思って担任しなさい」
と言うことです。
ですから私は、
「あなたたちに好かれようとは思っていない。私は正しいと思ったことを言っていく。私のことは嫌いでもいいが、正しいか正しくないかの判断は自分で決めなさい。」
と常に言っています。
自分には合わないけれど、学級の誰かとは合うかもしれない。その誰かに自分の考えを理解してもらえば、その子にも伝わるのではと思っています。
また、合わないと思っている子がいることを前提に、同じ学年の先生に自分の学級を見てもらったり、養護教諭に女子の話を聞いてもらったりといったことを積極的に行うようにしてきましたね。
担任の考えが伝わり、学級の子どもたちが納得していい学級を作ろうとする。
これができれば担任はストレスなく学級にいれるし、生徒指導的な余計な仕事は減ります。
子どもたちも人間関係のトラブルが減り、楽しく充実した学校生活を送れるのです。
こうやって書いていて思うのは、自分で言うのもなんですが、やはり学校の先生というのは複雑で難しい仕事をしているな、ということです。
自信を持ってやらなければいけない。
しかし勘違いせずに、謙虚さを忘れずに続けていかなければならない。
本当に大変な仕事です。