学級経営が上手い担任は、個々の力を育てることも上手いのか。
そんな話をしていきたいと思います。
結論から言えば、上手い人もいるし、逆に個々の良さを消してしまう人もいる、の2つに大きく分かれてしまうと言えます。
まず前提として、学級経営が上手いということがどういう状態なのかと言いますと、
①クラス全体が落ち着いている
②問題行動が少ない(減っていっている)
③仲が良く、明るい雰囲気がある
この他にもたくさん要素はありますが、大体こんな感じではないかと思います。
このような状態に学級担任がしていくためには、それなりの段階を踏んでいかなければならないのですが、この持っていき方によって、子どもたちの力を引き上げる人とそうでない人の違いがあるのです。
この違いはどこにあるのか。
簡単なことです。
それは、「子ども自身に考えさせているか、そうでないか」ということです。
担任が「こうあるべきだ」と常に教師の価値観を話し、その通りにする子を褒める。このルーティンを続ける学級は、落ち着きます。
これは決して悪くないんですよ、指導の一貫性がありますからね。
学級崩壊をする学級は、時間やタイミング、また教師自身の状態によって指導の一貫性が無いことが多いですから。
特に低学年であれば、教師が自分の価値観を話す指導が必要な場面もあります。
ですが、全てこのような指導をしてしまうと、担任が変わった時に全てが崩れてしまいます。
結局、子どもたち自身が考えて行動していないので、あまり育たないのです。逆に考えない子になってしまいます。良い、悪いを人に決めてもらうような感じと言えば良いでしょうか。
担任が自分の価値観を話すことが悪いと言っているのではありません。
それについてあなたはどう思う?と問いかけ、子ども自身が自分の意見を持つことが大切なのです。
子供の力を引き上げる担任は、それができていると言えます。
中には反射的に乱暴なことを言ったり手を出してしまったりする子もいます。そういう子には担任が一方的に厳しい指導をしてしまいがちです。
もちろんそのような指導も必要ではありますが、場面によっては子どもたちに預けてみたりすることを上手い学級担任はしますね。
クラス全体で話し合いの場を作るのです。
この話し合いをどんな場にするかが鍵になるのですが、悪いことをした子の公開裁判的になったり、常に良い意見を言う子や主張の多い子の独壇場になったりしてはいけません。
普段はあまり喋らない子、悪さをしてしまう側、一見話し合いに関心がなさそうな子、いろんな立場の意見を吸い上げるような場面を作ることが必要なんですよね。
注意される側からすれば、先生から注意されるより、友達から注意される方がダメージが大きいですし、周りの子についても、自分の考えを拾ってくれる担任は信頼できると感じるのです。
こういったことを続けていくと、日々の授業でも、画一的な発言だけでなく面白い発想が出てきたり、グループでの話し合いなども充実してきたりします。
自分で考えるようになると、自然に学習面でも取り組み方が変わってきますよね。苦手な内容に一人勉強(家庭学習)で取り組んだり、友達や担任にわからない内容を聞きに行ったりするようになります。
ある程度までいくと勝手に育つような仕組作りを学級担任がしているのです。
学校に対する見方や求める姿が大きく変わってきている昨今、求められる教員の指導力に対する概念も大きく変化しています。
自分の価値観だけを押し付け、授業のみならず生活面についても一問一答的な学級経営をするのではなく、多様な考えを吸い上げつつも、子どもたちが心地よく過ごせる環境を作るような学級経営をしたいものだなあと思います。