私たち教員は、かなり頻繁に保護者に電話をかけます。
欠席児童の家での様子を確認するためや、不登校気味の子の家庭に定期的に連絡をする場合など、電話をしない日も方が少ない、と言った感じでしょうか。
まあそれはまだよいのですが、厄介なのは生徒指導上の問題が発生した時です。これは必ず電話をします。そして時には学校に来てもらって面談、ということもあります。
いい話で電話するわけではないですから、当然、我々教員もあまり気乗りはしません。
でも、電話を受ける保護者側はもっと嫌なはずです。
保護者は学校からの着信があると、たいていの場合ドキッとするはずです。
「うちの子、何かやったのかな」
と。
まして学校から面談を持ちかけられたら気が気ではないでしょう。
保護者はそういう気持ちだということを、教員側は理解する必要があります。
そこで保護者に対して、どんなことに気を付けて電話すればよいのかを考えてみます。
子供の落ち度は親の落ち度と考える人も多いです。
「私がきちんとできていないから」
「小さい時にもっと関わればよかった」
「私が悪いんです」
「私の育て方が悪かったんでしょうか」
「みんなに迷惑をかけている」
そんな言い方をする保護者も少なくありません。
逆に子供の落ち度は学校の落ち度、と考える人も中にはいますが…
責めるつもりはなくても、責められていると感じる方が多いのです。
明るく振る舞っていても、心の中は穏やかではないのは当然でしょう。
そんな保護者に対して、私たち教員は、支援者としての立場で接する必要があると思います。
具体的には
①丁寧に話を聞く
②同じ目線で進む
③一緒に困り、一緒に喜び、一緒に楽しむ
④目標となる視点を持ち、それに近づくための手立てを提案する
ことが求められると思います。
さて、電話対応で一番難しいのは、最初の一言目です。
本題に入る前に、どんなことを話したらよいのでしょうか。
私が意識しているのは、
・日頃の感謝を伝える
・労いの言葉をかける
・子供の具体的な姿を伝える(よいところ)
でしょうか。
私は、
「忙しい中電話に出ていただきありがとうございます」
から始めることが多いですね。
そして日頃の学校の教育活動、特に直近の行事等での協力に関する感謝の気持ちを伝えるようにもしています。
仕事や家事に対する労いの言葉をかけるのもいいでしょう。
自分が実際にやっていれば、なおさら説得力が増すので、私自身のことを先に出して、仕事が終わってからの家事は大変ですよね、なんて話をしますかね。
子供の姿を伝えることは一番効果的なのですが、ここで大切なのは、「具体的に」伝えるということです。
「○くん、最近頑張っていますよ」
では、「何を?」と思ってしまうのです。
「○くん、昨日できないと言っていた計算を、私にやり方を聞きに来て練習したんですよ。それで、今日同じような問題をやったら、しっかりできていて感心しました」
のように、具体的な姿を伝える必要があります。
そのためには、子供をしっかり見ておく必要があるのは言うまでもありません。
とはいえ、話題があまりなくて、困るような場合もあるでしょう。
そういう時には、質問するようにしています。
「インフルエンザとか流行っていますが、ご家族の中で体調崩したりしていませんか?」
家族構成を理解して話すと、より親近感が深まると思います。
「小さい子もいて大変ですよね。うちもそうなんですけど、朝とか戦争じゃないですか?」
などですね。
関係性がきちんと築けないと、こちらの目的は果たせません。
本当にその子に変わって欲しかったら、そして保護者に変わって欲しかったら、よい関係を築くことです。
信頼できると思われなければ、そこからは進むことはありません。
私自身、言いたいことだけを言って関係性を崩すという失敗を数々してきましたから、よくわかります。
言いたいことを我慢して話をすることがありますから、これが私たち教員のストレスになるといえば間違いなくそうなのですが、先々ずっと続くストレスになるか、この後ある程度ストレスフリーになるかは、この関係性の築き方にかかってくるのです。