小学校教員kosukedadの日記

思ったことをわりとはっきり書いていきます。毒舌かもです。

フランスのいじめ防止の厳罰化に思う

我々教員が学級担任をしていて、必ずぶつかる問題の一つ。それはいじめです。

 


まあ、私たち大人の世界でもそうですが、人は合う、合わないがあります。まして公立の小学校、中学校などはそこに住んでいたからという理由だけで、無理やり集まった集団です。

 


集団になることでグループもできますし、共通の嗜好を持つ仲間で群れることもあれば、逆に考え方が合わない、生理的に受け付けない、なんてことも起こりうるわけです。ある意味、いじめが起こりやすい土壌がそこにあるわけですね。

 


そうならないために、私達教員は知恵を絞り工夫をするのですが、それでも必ずこの問題は付きまとうのです。

 


いじめに関しては、文部科学省もこういうものがいじめに当たるということを明確にしていますし、被害者がいじめと感じたらいじめである、ということも言っています。

 


子どもたちも、低学年の頃から何度も口酸っぱく言われていますから、当然わかっているのです。それでも、なかなか無くなりませんよね。

 

 

 

いじめ案件またはそれに近い案件が出てくると、必ず苦労するのはいじめられた本人とその保護者です。被害側は精神的に参ってしまい、時には不登校になることもあるのです。

 


私はいつも思っていました。

 


学校に来なくていいのは加害側なのに、まぜいつも苦労するのは被害側ばかりなのだろう。加害児童を出席停止になぜできないのだろう。「○○さん(加害児童)は出席停止にしました。安心して出てきていいですよ」ぐらいしてもいいのに、と。(過激ですみません)

 

 

 

そんな中、フランスでの取り組みを耳にしました。

 


フランスでいじめ加害者を転校させるなどの厳罰化に踏み切ったという話です。

 


フランスもいじめの問題は深刻で、「いじめ行為は犯罪」として認識されています。

 


2022年3月の法改正で、嫌がらせを受けた被害者が自殺または自殺未遂をした場合、最高で懲役10年、罰金15万ユーロ(約2370万円)が科されるとしています。さらに8日間以下の完全な就学不能を引き起こした場合、3年以下の懲役および4万5000ユーロの罰金が科され、8日間を超えて完全に就学不能となった場合は、5年以下の懲役および7万5000ユーロの罰金が科される、ということだそうです。

 


はっきり法的に示されたのはなかなかすごいですが、私が注目したのは、この懲役や罰金刑ではありません。

 


では何かというと、

「被害者を転校させるという権限を校長に持たせた」

ということです。

 


学校におけるいじめ防止措置は3段階に分類され、第1レベルは教育チームと生徒、保護者の話し合いによる和解解決で懲戒処分はありません。これは我々が行なっていることと何ら変わりはありません。まずは学校と児童と保護者の話し合いですよね。

 


この後が違います。

 


第2レベルは和解の試みにもかかわらず、いじめが継続された場合、国の教育機関教育心理学者や医療関係者が介入し、解決に取り組む段階に入るのだそうです。

この時点で学校だけでなく、違う機関が入ってくるわけですね。

 


第3レベルは継続的いじめによって被害者生徒の安全に重大な脅威を与えている場合、強制転校も可能としています。第3レベルは昨年3月にいじめが犯罪と定められ、対策強化が検討された結果として、強制転校権が今年9月に校長に与えられた形となったそうです。

 


体系的にいじめの防止措置の仕組みができていることは、何らかの参考にできると思います。

 


校長に権限が与えられただけで、抑止力は相当のものだと思いますが、実際に転校させられるかどうかはまた別問題のような気もします。日本で導入すると、どうしても二の足を踏んでしまうような気もします。

 


実際フランスではこのことにより、教員の負担増を懸念する声も上がっており、いじめ対策が強化されたことで、法的に犯罪者として裁かれる加害者の恨みを買うことを恐れる教師も少なくなく、教員のなり手が激減する懸念もあるそうです。

 


確かに、恨みは買いたくありませんね。難しいです。

 


ただ、いずれにしても、どちらかというと今の学校は被害者側が苦労の全てを請け負って、加害側はある程度の反省の気持ちさえ示せば、普通に学校生活を送れる現状です。

 


もちろん、まだ未熟な子どもだから、という部分はありますが、保護者による自分の子への教育の観点からも、少し変えていきたいなという気持ちが正直なところです。