先日、いじめについて新たに文科省の通達が出されたという記事が出ていました。
いじめ問題に積極的に警察が介入する、という内容のものですね。
今回はこの内容について、少し考えてみたいと思います。
実は「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について」という通知は、文部科学省から平成31年3月29日に出されています。
学校と警察が連携して、重大ないじめ事案にあたっていくように、という内容の通知なのですが、ではなぜ今話題になっているのでしょうか。
それは、同じく文科省から先日2月7日に「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について」という通知が出されたからなのです。
これが先ほどの記事ですね。
なんか紛らわしい説明になっていますが、若干タイトルの文言が違うんですよね。
この二つの通知、基本的には重大ないじめの事案には警察と学校で連携して対応していきましょう、という趣旨はもちろん変わらないんですよね。
今回の通知の概要は次のとおりとなっています。
①いじめ問題への対応における警察との連携の徹底
②児童生徒への指導・支援の充実
③保護者への普及啓発
④総合教育会議の活用及び首長部局からの支援
平成31年の通知よりも内容は細かいものとなっています。
ではどこが大きなポイントになるかという話をしたいのですが、「具体的な事案の紹介」と「保護者への対応や啓発」という点が、結構大きいなと思います。
一つ目の「具体的な事案」ですが、学校で起こったいじめの中で、警察が介入することで解消に向かった例や、警察に相談すべき具体例を示しています。
具体例を示したのは大きいとは思いますが、これはまあ読むと「そりゃ警察を通したほうがいいよなあ」と思うような例が多く示されています。つまり、学校もわかっているよなということが多いですが、具体的に示すことで、学校として共通理解の材料にはしやすいかなと思います。
興味深いのは二つ目の「保護者への対応や啓発」なんですよね。
この保護者への対応や啓発ですが、この通知では④の『保護者への普及啓発』という言葉になっています。
簡単に言うと、
「学校で起こる重大ないじめ問題に対しては、警察と連携して対応にあたることを、あらかじめ保護者に周知しておく」
ということです。
「保護者の安心感につながることもあることから、判断に迷うような事案であっても警察に相談する」
とも書かれています。
保護者へは入学説明会や保護者会などで周知するということになりますが、おそらく保護者の皆さんは「そうか、いじめに対しては警察が入るんだな」という意識になるでしょう。
さて、ここで今後考えられることを整理してみたいと思います。
まず、いじめ問題に苦慮している学校現場では、警察と積極的に連携することでのメリットは大きいと思います。
事情聴取や保護者への説明などは、膨大な時間を要しますからね。学校側はどうしても心情というものを重視してしまいますから、法というものを重視する警察が介入することで、効率的な事実確認に繋がると思います。
また抑止力という点でも、大きな力を発揮するのではないかとも思いますね。
しかし、逆に考えられることとしては、学校がつかんでいる事実と、保護者が思っている認識が違い、学校を飛び越えて保護者が警察へ相談する、といったことも起こってくるのではと思っています。
以前にもお話ししていますが、保護者の中には自分の子供の話だけを信じる方がいるからです。
そうなると、学校はその説明に追われ、かえって日常の業務に支障をきたすことになります。そうならないように、学校側が丁寧な説明を普段からすることも必要になってきますね。
いずれにしても、「いじめ」は大きな社会問題です。
この通知が今後のいじめ問題の減少に繋がるよう、うまく活用されていくことを期待しています。