全国の学校の教員が今の春の時点で1500名足りていないというニュース記事を目にしました。
産休育休、病気休暇など、様々な理由で休む教員の補充ができないというのがその理由です。
今回はこのことについて考えていきたいと思います。
まず、教員になる流れについてまず説明します。
新規採用の公立学校の教員は、毎年各都道府県で行われる採用試験で選ばれます。この採用試験の倍率が最近は低くなっていますよ、という話を私のブログでも過去にしたことがありました。
私が採用になった頃は、採用倍率が10倍ほどの狭き門だった時もありましたね。
試験に合格し採用されれば、「教諭」として働くことになります。
ここで加えて説明したいのは、学校は「教諭」だけで職員が成り立っているわけではないということです。
学校は子供に直接関わる、いわゆる「先生」の絶対数を「教諭」で全て埋めているわけではありません。
都道府県独自の条例や市町村の負担により、それぞれ独自の「加配」と呼ばれる採用人数を増やす取り組みなどを行っていることがあります。
また、先ほど言ったように、病気等やむを得ない事情により一時的に長期休暇を教諭が取り、不足する職員の補充が必要な場合があります。
このような時に「講師」と呼ばれる人材を採用するのです。
「講師」は採用試験を受けているがまだ合格していない人、一度は教員として働いたが子育て等のために退職した人、定年退職した人などが採用されます。
今回の教員不足の問題は、この「講師」が足りないということになるのです。
実は講師になれる人というのは結構いるのです。
倍率が落ちているとはいえ、少なくとも採用人数以上の志願者はいるわけですから、毎年不合格となり採用されない人も一定数います。
また、私の地区などでも毎年たくさんの定年退職者がいますからね。今退職する年代の人は比較的大量に採用されていた世代でもあるので、人数が多いわけです。
この方々にお願いすれば、講師の人数が足りないということにはならなそうなものなのですが、簡単にいうと、こういった方々が講師として働くのを希望しなかったり、直接お願いしても断ったりするのです。
普通は「講師になりたい」と登録した人の中から、不足する学校に補充する形となるため、教育委員会などが仲介するものなのですが、登録する人も少ないため、
「学校側で探してください」
ということになり、校長や教頭が心当たりのある人材に片っ端から連絡を取るということになっていることもあります。
それだけ、教員という仕事の内情がわかっている人であればあるほど、「割りに合わない仕事だ」と感じている部分があるのかもしれません。
今の学校現場というのは、魅力のある職場では無いということを表しているとも言えます。
結果として足りない人数で回していくこととなり、現場はますます疲弊していくという悪循環となっている、というのが現状でしょうか。
私の住む地域では、この状況を少しでも打開するため、子供に直接関わらない仕事を行う職員を募集し採用しています。
勤務時間も短めで、担任に頼まれたプリントの印刷や教材の整理などを行っています。
これによって、担任が放課後にプリントをする時間が減り、会議資料を丁合したり封筒に入れたりする作業がかなり少なくなりました。
実際、学級担任から「めちゃめちゃ楽になった」という声も聞こえていますね。
そして私が感じているのは、この職員は勤務時間が短いですから、学級担任が仕事を頼むために計画的に用意するようになったなあということです。教員自身の時間管理の意識向上にもつながっていると思います。
この形の勤務形態であれば、採用を希望する人もそれなりに多いようなので、これも一つの方法ですよね。
ただ、これはあくまで一時凌ぎとも言えます。根本的な問題である、子供と関わる「先生」の不足を解消するものでは無いですからね。
働く側にとって魅力ある現場にしていくために、やはりもっと考えていかなければならないなあと感じるのです。