この時期は教員にとっては、年に一度の人事異動の季節です。
私の県では発表が非常に遅いため、引越しを伴う異動の教員がいつも「アパートが埋まっちゃってて大変だ」「もっと早く教えてくれればいいのにねえ」
なんて会話が行き交います。
修了式が終わってからの数日で異動することになるので、本当に慌ただしい数日となります。
さて、どこの業界でもそうなのでしょうが、現場の思いと人事が一致しないということはあるのではないでしょうか。
特に教員の世界は異質な面があり、能力が高くても出世を望まない人が多いという面があります。
こういう人の下で働きたいなと思っていても、
「俺はずっと学級担任をやっていたいから」
「子供に直接関わっていたい」
という理由で、管理職を望まない教員は一定数います。
特に小学校の場合、女性の比率が非常に高い職場でもあります。
非常に力があり、発言力がある定年間近の女性の先生が何人もいる、というのは普通の規模の学校であればよくあるのです。
男性の教員は割と管理職を目指す人が多いのですが、それでも仕事ができる人が管理職になるかというとそうでもありません。
もちろん管理職試験で求められることは違いますし、教諭と校長・教頭が見る景色は違います。
ですが、学校という現場は変わりませんから、基本的に教諭として優秀だった人は管理職としても優秀な人が多いんですね。
しかし、学級担任として学年・学級経営をバリバリやっている教員には、管理職試験の勉強をする時間はありません。ですから学校の中で重要な仕事を担っている教員が、管理職になりづらい状況にあったりするわけです。
逆に指導力に疑問符がつくため学級担任を任せられず、特定の教科のみ担当している教員が、しっかり勉強して合格する、なんてこともあるわけです。
こういった所から、現場の一般の教員たちが求める管理職像と、実際の管理職の姿とのギャップが大きい学校は少なくないのです。
さらに言うと、管理職になるメリットが、それほど大きくないということも問題点としてあると思います。
保護者対応や生徒指導の事案などで、夜遅くまで対応したり、休日もなく出勤したりしている様子を見ていて、管理職は大変だなあと思っている教員はとても多いです。
ですから、教頭の激務を見ている中で、
「あんな割に合わない仕事するくらいなら一教諭でいいや」
と思ってしまうんですね。
また、再任用制度により、校長経験者が教諭になって働き続けるようになっています。
年長の校長経験がある教諭に指示する立場として、管理職が言いづらそうにものを頼んでいるのを見ていると、複雑な気持ちにもなります。
「トップに立って変えていきたい」
そう思う人が多くなければなかなか学校現場は変わっていかないと思います。
しかし、実際のところ校長になったとしても、教育委員会や保護者などの間に立って苦しい学校運営を迫られる現実があります。
とはいえ、校長の存在というのは大きいです。
校長が変われば、やはり学校は変わります。
優秀な人がきちんと管理職になって活躍できるように、管理職試験の結果だけでなく、現場の教員からの評価を踏まえて人材を吸い上げていくことも必要なのではないかと思います。
みんなが納得できる人事であってほしい、そう思いますね。