私の勤務する学校には、新採用の先生がここ5年以上毎年入っています。
職員の年齢層が高くなっている中で、学校の雰囲気がフレッシュになるのは大いに結構なことですが、新採用の教員は毎年必ず苦労していますね。
そりゃそうだろうなと思います。
今とは時代が違いますが、私も新採用の頃は苦労しました。大学を出てすぐの採用だったため、右も左もわからなかったですから。
年度末を迎え、私の勤務校の新採用の教員も、少し自信に満ちた顔が窺えるようになってきました。嬉しいものです。
私が出会った先生方はこれまで何とか心折れずに続けていて、苦労を乗り越え立派に成長している若手教員ばかりですが、すぐ隣の学校では病気休暇に入ったとか、遅刻が多くなって管理職が何回も電話するとか、そんな話も聞いています。
新任の先生が何に苦労するのか。
今まで何人も新採用の先生方を見てきましたが、その原因は至ってシンプルな気がします。
保護者対応が難しいとか、時間外勤務が辛いとか、それも確かにありますが、一番は
「学級経営がうまくいかない」
ということでしょう。
つまり、子供との関係で苦労するということです。
これ、共通するのは「子供の人気はある」んですよね。
子どもたちにはとても好かれているのですが、学級経営がうまくいかないのです。
具体的には、
①おしゃべりが多く話を聞かない、立ち歩きをする児童が多い
②友達同士でのトラブルが多い
③休み時間に物を壊したり、怪我をしたりすることが多い
④学級の様子に関して、保護者からのクレームがある
といった感じでしょうか。
なかなか言うことを聞いてくれず、初任者研修の担当教諭や管理職が学級の中に入ってヘルプすることが多いですね。
こうなってしまう原因はどこにあるのでしょうか。
簡単に言うと、
①担任が毅然とした対応をしない
②子供との関係性がはっきりしていない
の2点でしょう。
今の若い先生は叱られて育っていません。とても心の優しい人が多いです。
ですから、どう叱ったり注意したりすれば良いかがわからない人が多いのです。
例えば、おしゃべりが止まらない児童に対して、どんな風に注意したら良いかがわからず、
「静かにしてください」
位の注意しかできないのです。
「あなたは何をしに学校に来ているのか」
「おしゃべりをすることで誰かが困っている、あなたは人を困らせたいのか」
「おしゃべりをして話を聞かないとすれば、それはあなたにとってプラスとなるのか」
など、言い方はいろいろありますが、子供に対して毅然とした態度で言うことが必要な場面が必ずあるのです。
ここで大切なのは、言う内容だけでなく、態度もとても大事だと言うことです。
子供によっては、話の内容があまり理解できない子もいます。でも、教師の顔つきや態度で、「これは悪いんだな」と理解する子もいるのです。
子供と関係が深くなって、友達のようになってしまうと、こういった態度が取りにくくなります。
関係性が大事だというのはこういうことなのです。
「子供に近い存在でありながら、子供を指導する立場として存在する」
これがなかなか難しいということでしょうか。
若いからこそできることもたくさんありますし、子供にとってプラスになることも本当に多くあります。
ですから、その良さを無くさないように、でも子供をしっかり成長させられるように、私たちのようなベテランと呼ばれる教員はアドバイスしていく必要があるんだよなと日頃から感じているのです。