私もそうですが、教員の多くは大学の教育学部出身です。小学校教員は特にこれが顕著です。中学校や高校の専門教科の免許は他学部でも取得できるものが多いですからね。
そんな中で今日はこの記事を取り上げたいと思います。
自分が学生だった時のことを考えてみると、あまり記憶には無いですが、現場経験のある教授は少なかったような気がします。講義の内容に反映されていたか、という視点だけですけどね。
自分が学生だった頃の記憶としては、教授が現役の教員だった頃の授業のビデオを見せられて、感想を書かされたなあ、くらいの記憶しかありません。まあそれぐらいの記憶ですから、面白くなかったんだと思います。(自分も不真面目だったからかも知れません…)
ですから、今も昔も現場出身者はいたとは思います。
では、それが良いか悪いかという話になるのですが、結論から言うと「人による」ということしか言えないのではないでしょうか。
ですが、その「人」を選ぶ過程というのは、考える価値があると思います。
どんな人を大学に送るか、ということです。
今回文科省が出した方針をまとめたこの記事では、
『大学設置基準を改正し、教員養成を目的とする教育学部などの教授らのうち、小中高校の教員経験者を「2割以上」にするよう国公私立大学に義務付ける。2026年度以降に学部の新設や組織改編をする大学が対象となる。現在、国立大の教員養成学部では、教員経験のない研究者らが目立ち、現場での経験に基づいた授業のできる人材が不足している。教員経験者らの割合は16・1%にとどまる。
教授や准教授などとして起用する教員経験者は、元校長や元教頭、現職の管理職らを想定している。大学では、学校生活や部活動への関わりなど自身の経験を踏まえ、学習や生活指導の実践的なノウハウを教える。また、人脈を生かして、学校で働く教員を呼んだり、学校に連れて行ったりして、教育実習以外にも現場を知る機会を増やす。文科省は、教員OBなどから現場や仕事の具体像を学び、魅力を知ることで、卒業後に教員として就職する学生を増やしたい考えだ。』
とあります。管理職もしくは管理職経験者を教授として起用するという考えのようですね。
主に校長や教頭で退職した方を対象にしているように捉えられますから、コメント欄を賑わせているように、現場の状況をきちんと伝えることができるかという点については微妙だと思います。
校長や教頭などの管理職になれるのは、教育委員会や上の方に認められた人であり、現場で実際に働く教員に認められた人ばかりではないからです。
もちろん、求められる資質が違う面があることは言うまでもありません。
しかし、大学生の教員志望の学生に教える内容は実際に子どもたちを前にして教えていた頃の話が中心です。そうなると昔の話になってしまいます。時代はどんどん変化していますからね。
管理職経験者には、当然のことながら、現場での実績も十分で周囲の教員にも認められる方もたくさんいます。
ただ、理想としては、バリバリ現場で働いている教員を定期的に入れ替える形で大学に送る、というのが良いのかなと思います。あくまで「教員養成課程」ではという意味です。
大学は本来「研究する」場所だと思います。そうなると長い時間をかけて研究する必要があると思いますが、こと教員養成に関しては、専門学校的な要素が強いですからね。数年で入れ替えることによって現場の空気感を持ち込んで講義することが可能なのかなと思います。
問題は、現場に優秀な人材を大学に送り込む余裕もあまりない、ということです。
将来を担う人材育成をおろそかにもできない、現場はもちろん人手が足りない、教員自体の負担軽減のために教育委員会もできることを増やしていかなければならない…結局どこも人が足りなくなっていってしまう…
そんなことにならなければ良いのですが…