授業づくりについて久しぶりにお話したいと思います。
最近はちょっと大きな話や先を見据えた話ばかりしてきたので、今回は現実的な日常の話をしますね。
毎日の授業をいつもいつも特別なものにはできません。何が言いたのかというと、1日に行われる6時間の授業を、毎日前日に完璧な準備をして教材研究をバッチリして臨む、というのは不可能なことです(やっている人もいるかもしれませんよ。ワーカホリックだと思いますが)。
そこで、私達教員が日々活用しているのが、教科書と指導書です。
教員はこれを使って、日々の授業を行います。
教科書は子供が持っているものと同じものですが、指導書はその教科書の内容を指導するための、具体的な指導の流れなどが掲載されたものになります。
大体この指導書を使えば授業は成り立つのですが、使い方や見方の感覚を磨けば、より興味深い授業づくりができると思うのです。
そのポイントを例として3つ挙げます。
①必要感のある課題へ変えてみる
②中心資料を決めてみる
③あえて教科書を使わない日を作る
では少し具体的に述べていきます。
①必要感のある課題へ変えてみる
教科書の課題が児童の必要感を生むかどうかを考えてみるのです。
例えば、「Aは500円で5個、Bは350円で3個のチョコレートがあります。どちらがお得でしょう」などという問題があったとします。
これを、「Aは500円だけど5個入っている、Bは350円で3個入っている、Cは2個で600円。どれが欲しい?」と聞いてみるのです。
こうするだけで答えが一つではなくなります。
単純に一つあたりの値段が安いAという答えもあれば、自分は5個も食べられない、3個でいいからBという答えだってあるわけです。僕は3人兄弟だから5個だと喧嘩になっちゃう、でも立派な理由です。Cはなんで高いのだろう、すごく美味しいのかな、となんて言う子もいるかもしれません。
1時間の学習のねらいを考えるとずれてくるところはありますから、毎時間このような形はできませんが、こういう授業を取り入れるだけで参加意識が生まれます。
最近求められている学力は、条件をしっかり判断できるかということが重要です。必要の無い情報を取り除き、必要なものだけを選ぶ力を学力として求めています。そう言った力も育ちます。
②中心資料を決めてみる
教科書にはさまざまな資料が載っています。パッと開くと全てに目が行くことになります。これをあえてせずに、中心となる資料のみを見せるという方法です。余計なものを見せないということですね。
とにかく一つの資料に集中させて、疑問や気づきを出させるのです。社会や理科で使えます。本当に一枚の写真だけで1時間の授業が成立するのです。子供達が資料を見る目を磨くことにも繋がります。
方法はいろいろあります。児童のタブレットに画像や写真を送るなどできればベストでしょうが、スマホで写真を撮り、それを教室のテレビに大写しするだけでも良いでしょう。
ポイントは中心となる資料を教える側がしっかりと見極めないといけないと言う点です。
③あえて教科書を使わない日を作る
別に教材を開発してオリジナルの授業をしようと言っているのではありません。単純に教科書を開かずに授業を進めるのです。
子どもたちはどこかで先生の話を聞いていなくても、後で教科書を見れば解き方がわかるだろうなどと思っています。そういった思いを裏切って見せるのです(笑)。
最初から机に教科書を出させないで授業を進めます。最後まで。ごくたまにでいいんです。これをするだけで、気を抜いちゃいけないんだと子どもたちは思うはずです。
日々の授業を手間をかけずにちょっと工夫すること、これができれば私たちの業務の負担も減りますし、子どもたちも育ちます。
若い先生達には、この辺りのひと工夫をうまくやればいいんだよ、といつも言っているのです。