子供を頑張らせるためにご褒美をぶら下げる、ということは、大なり小なり、どなたも経験があるのではないでしょうか。
水族館のイルカショーなどを見ていると、餌をあげることで成立していますから、多くの人が、ご褒美のために頑張るということについてある程度は容認していると思います。
かくいう私も、本当は良くないかもなと思いつつも、自分の息子に同じようなことをしまっているなと感じることが多いです。
子供が時々、「○○を買ってくれたら頑張る」ということを言ったりしませんか。
そんな時、どうしたらいいのでしょうか。今回はそんな話題です。
不登校傾向にあったある児童の話です。
もともと、学校には行く意味が無い、家でも勉強ができるし、友達とはオンラインゲームで繋がることができる、という理屈を言っていた子です。
4月からずっと学校には登校せず、担任と保護者が時々やり取りする状態が9月まで続きました。
親(父)はほとほと困り、ゲームを買ってあげるから学校に行ってくれないか、と頼んだそうです。
すると何と、それから学校に通い始めたのです。
周囲の友達も久しぶりに登校したその児童を歓迎し、学校生活自体は笑顔で楽しく過ごしたそうです。
しかし、長くは続きませんでした。
数日登校後、約束を果たしたということでゲームを買ってもらった次の日から、すぐに学校に来なくなってしまいました。
考えてみれば、イルカショーのイルカも、餌を一匹貰えば、一つ芸をします。
一匹貰ったからといって、何度も芸をし続けるわけでは無いですよね。
一つ願いが叶うと、次の願いが生まれてしまうんですよね。
それが叶わないと、閉店ガラガラ、シャッターをおろしてしまいます。
特に今回の学校に登校し続けるというような、やり続けることを目的にしているものなどは、永遠にご褒美をあげ続けなければならないことになってしまうのです。
結局、学校に行かないで困っているのは親であって、本人の困り感はゼロです。ですから、親がただ単に自分の子供をなんとかして学校に行かせようとしただけに過ぎなかった、ということになるのでしょうか。
一昔前であれば、「理由なんてない、とにかくやらなきゃダメなんだ」という理由で、ある意味強制的にやらせることも多かったと思いますが、今はなかなか通じません。学校の指導の仕方が変わっているように、それがやりにくい世の中にもなっています。
何かをやり続けるということは、やはり本人の納得感とやる気が全てなのかもしれません。
それでは、本人を「その気」にさせるにはどんなアプローチの仕方があるのでしょうか。
やはりそれは、やらせようとしていることの魅力を理解させることと、必要性を理解させることだと思います。
小学校中高学年くらいであれば、今の自分と未来の自分をイメージさせることも有効でしょう。
私は低学年の子でも噛み砕いて話すようにしています。
子供が、「やってみたい」「聞いてみたい」「触れてみたい」と思うことを提示することで、やる気になってくれることを期待し、提示し続けること。
今やろうとしていることが、自分にとってどんなことに役立つのかということを伝え、考えさせること。
このままの生活を続けて行った時に、どんな将来が待っているか、イメージさせるとともに自分で考えさせること。
この辺りが必要なのでは無いでしょうか。
いずれにしても、お互いにしっかり会話ができることが必要になります。
コミュニケーションの時点でシャットアウトしている状態であれば、いくら言っても無駄です。
ですから、もう一つ大切なポイントとして、「子供の考えをきちんと聞く」ということも挙げておきます。100%では無くても、理解できるところがあれば、それを認めてあげることで、心を開くきっかけになることもあります。
それから、その子にとって大切な人の思いを伝えることも有効だと思います。
あなたが頑張ると私も嬉しいんだよ、という思いは、伝わるはずです。
大人が説得して言い負かすような形では、本人は例え「わかった」と言っても、心の底から納得しているわけではないかもしれないのです。
根気はいるかも知れませんが、そうやって粘り強く話していきたいものです。
何を隠そう私自身が、今、保育園児の息子の、
「ユーチューブ見たい!ユーチューブ見たい!」
と戦っているのですから(笑)