「先生、ズル休みをしてもいいですか?」
1年生の子が私に聞いてきました。
さあ、なんて答えますか?
先日、スクールサポーターに連れられて、1人の児童が私のところにやってきました。
集中力があまり続かない子で、みんなと同じ行動を取ることも苦手です。
もともと担任も少し手を焼いていて、常に指導してはいるのですが、理解力がまだ育っていないためあまり響かず、まあ自由奔放に過ごしている、そんな子です。
そのある児童が、私のところに来て、
「ズル休みをしてもいいですか?」
と聞いてきたのです。
その後のやり取りを紹介します。
「そっかー、ズル休みしたいんだ。でさあ、ちょっと聞きたいんだけど、ズル休みってことは、○○くんはずるいって思ってるの?」
「うん」
「どんな所がずるいのかな?」
「・・・」(うまく答えられず)
「でも、ずるいって思ってるんだね」
「うん」
「○○くんも自分でずるいって思ってるんだけど、それでもズル休みしたいんだ。どうして?」
「うん、だってゲームやりたいんだもん」
ずるいと思いつつ、家でゲームがしたいが故、ズル休みしたいことがわかりました。
私はどう話していったらいいかなあと思いながらも、このように話を進めていきました。
「ゲーム楽しいもんね。でもさ、○○くんはずるいって思ってるんだよね。ということは、ズル休みしちゃうと、○○くんはズルい子ってことになっちゃうけど、○○くんはズルい子になりたいの?」
(首を横に振って)「なりたくない」
「おうちの人、お父さんやお母さんは、○○くんがズルい子になってもいいって思ってるかなあ?」
「ズルい子になってほしくないと思う」
「○○くんは偉いなあ。ズル休みすることがずるいってわかってるんだから。そして何より、ズルい子になりたくないって思ってるんだから。」
「わかった、ズルい子にならないようにする。でもゲームやりたかったんだよなあ」
「おうちに帰ってからゆっくりやればいいよ。ずるいなあと思ってやるより楽しいよ」
「うん」
果たしてこの言い方が良かったかどうか、自分でも半信半疑な部分はあります。私が子どもに対して指導する上で一番大切にしていることは「納得」なのですが、この児童は完全に納得していたかといえば、そうではないかもしれません。
しかし、発達段階が未熟であっても、自分の思いや大事な誰かの思いを振り返らせることで、少しでも前向きな気持ちになれればいいなと思い、このように話してみました。
この話を担任に伝えたところ、この日の児童は全く集中力が続かず、学習に気持ちが向いていなかったということでした。
学級担任は保護者に事実を伝え、私はズルい子になって欲しくないよ、○○ちゃんにはズル休みしないで元気に学校に行って勉強してくれると嬉しいなあ、などと励ましましょうと言ったそうです。
とまあ、これがその日のやりとりだったのですが、同じ言葉を高学年の児童が言ってきたらどう返すでしょう。
間違いなく同じようには私は返さないと思いますし、児童もこの1年生のような反応はしないでしょうね。
ずるい子になってもいいのと聞くと、「別にいい」と言うとか、親の思いは関係ないとか、そういう返しも予想されます。
しかし、最終的に児童が納得できるように、知恵を絞って話すこと、これが私たちにできることなのでしょう。
「ダメなものはダメだから」という言い方では、子供自身で考える力が育たないと思うのです。