私のブログは生徒指導や保護者対応、それから自分の勝手な雑感などが多いのですが、たまには授業づくりについて述べなきゃなあと思います。
そこで今回はこれから求められる授業について考えていきたいと思います。
小学校の授業では基本的に、問題があって、その結果や答えの予想をし、どうやったらその答えが導けるかを考え、解決していくという問題解決的な学習が主として行われています。
今まではしっかりと理解させる、ということが第一目的として授業が進められてきました。これはこれで当たり前だと思います。
我々の考え方として、「子供はわかるから楽しい」という概念があるからです。理解できたことで楽しく感じるわけだから、何より理解させること、つまり、できるようになることが重要だという考え方です。
もちろんこの考え方は大事ですが、私は最近これとは逆の思いを抱くようになりました。
つまり、「わかるから楽しい」のではなく、「わからないから楽しい」のではないか、ということです。「わからないことを探す作業が楽しい」と言い換えることもできるかもしれません。
これまでは学校で習うようなことは、自分自身が実力をつけ、解決することが必要とされてきました。知識が多ければ多いほどいいし、わからないと思うことが少ければ少ないほど良かったわけです。
その中で、わからないことを確かめるには、辞書を引いたり、書籍を調べたりすることが主流でした。これには相応の時間がかかります。
ですが時代は大きく変化しています。
わからないことがあっても、ちょっとググればすぐにわかるようになりました。学校の宿題だってスマホにかざすだけで答えてくれたりもします。
労力をかけなくても簡単にやってくれるものに、時間をかけていくことの意味はどこにあるのでしょうか。
これから私たちは、どんな視点で学びを作っていかなければならないのでしょうか。
その一つの答えが「わからないことを楽しむ」ということだと思います。
実は普段の授業でも取り入れることができるし、実際にそうしている先生方も多いと思います。
例えば、問題があって答えがあります。解き方を3つ提示します。どの解き方が一番効率の良い方法でしょうか、などです。
問題の答えは最初に教えます。答えは一つです。しかし効率の良い方法がどれかは、考える視点によって変わるかもしれないのです。グループで話し合って、結論が違ってもよいのです。筋が通っていれば。そこで子供たち同士で議論になるのも面白いですよね。
なぜ、どうして、そうなるのか。その結論はどうやって導かれたのか。ググるだけではわからないことを、自分や友達と探していくのです。
私もつい最近、6年生と「拡大図を描くためには、最低限どこの長さがわかればよいのか」という課題で授業しました。
教科書では方眼に描く描き方を考えるのですが、「描き方はあとで見ればすぐわかる」と言って、「最低限どこを測るのか」だけを中心に据えて授業したのです。
個人で考え、隣りの子と考え、グループで考え、発表し、議論する。一生懸命話し合いましたが、この学級では、結果的に誰も一番少なく測る方法を出せませんでした。「やられたー!」「そうか」「できなかったけど楽しかった」などという声が聞こえてきました。
これからは、何かをするときに全部を知る必要はなくて、情報収集したものをもとにそこから何を生み出すか、どう繋げていくかといった能力が問われてくると思います。
そして、何がわからないのか、という視点を持つことで、誰もわからないことにチャレンジし、新しい考えや発見に気づくことができる人材が育つのではないかと思います。
子供たちに「考えてみたい!」「どういうこと?」と思わせるような授業づくりをしていきたいものですね。