小学校教員kosukedadの日記

思ったことをわりとはっきり書いていきます。毒舌かもです。

教師のアンテナ

学級を持っていると、日々何らかのトラブルがあるものです。そのトラブルに対して、どんな心構えで臨み、どんな形で対処するかによって、後々の負担が変わってきます。今回はそんな話をします。

 

低学年の学級。ある日の休み時間、女子児童の机の上に小さなメモ書きがあり、同じクラスの男子児童の差出人付きで悪口が書かれていた。周りの子が気づき、学級担任へ。メモ書きが置いてあった座席の児童は、その時はあまり気にしている様子は見られなかった。その後、別の要件などをこなしていく中で、学級担任はその事案のことを忘れ、放置する形となった。数日後、メモ書きが置いてあった児童の保護者から電話があり、「娘が学校に行きたくないと言っている。直接お話がしたい。」という連絡が入った。

 

 

ただでさえ忙しい日々の業務。そんなときに限ってトラブルが発生します。これが学級経営のあるあるです。しかし担任は、こういう場面でセンスが問われます。このケースはある程度放っておいて大丈夫なものか、逆に全ての他の仕事を止めて対処すべき問題なのか、その取捨選択です。

 

先程の例の場合、その選択を間違えた、といえるでしょう。その場で確認すべき重要な点がいくつもあるからです。

 

まずはメモのあった児童のフォローです。心境をしっかり聞き、守ってあげるということを伝えなければなりません。その上で具体的に差出人の名前があったのであれば、その子と普段トラブルがあったのか、無かったとすれば他の子とトラブルは無かったのかなど、事情を聞く必要があります。

 

また、差出人本人からも聞くことが必要でしょう。自分で書いたものなのか、そうでないのか。この時に本当のことを言っているかどうかはっきりしなければ、他の児童にその時の様子を聞く必要が出てくるかもしれません。

 

場合によっては、差出人が書いたのではなく、誰かが差出人になりすまして書いたことも考えられます。筆跡や使用した紙などを確認するのも、早い対処の中でないとなかなか難しいと思われます。

 

いずれにしても、時間が経てばはっきりしなくなります。スピードが大切なのです。

 

そして一番大事なことは、学級全体に対して、このようなことは絶対に許されないことであるという姿勢を、すぐに担任が見せることでしょう。全てを止めて指導するような重要な案件だということを見せることで、子どもたちの中に、「これは大変なことなんだ」という気持ちが残ります。これが次の同じような案件を未然に防ぐことになっていくのです。

 

そして何より、被害児童の安心感に繋がります。担任がしっかり見てくれるんだ、何かあったらまた相談しよう、という信頼が生まれるはずです。最初にあった「学校に行きたくない」と言うこともなかったかもしれません。また、その日に保護者に連絡すれば、保護者も不安な日々を過ごさずに済みます。

 

 

ここで私が言いたいのは、これは重要、これは大丈夫、というラインを見誤らないために、教師がしっかりとアンテナを張っておくことが大切だということです。

 

最初にやるべきことをやってしまえば、後々楽になるのです。結果的に業務の負担を減らすことにつながるのです。不安に思っている児童と保護者への対応、この後に続くかもしれない同様の案件、これら放課後に行う対応が無くなるのですから。

 

放課後に保護者に電話をたくさんしている学級担任の中には、もちろんどんな方が担任をしても防げない事案もありますが、担任の指導で防げる事案が数多くあるのも確かです。

 

私も若い頃は、この判断を見誤り、児童や保護者との信頼関係に傷がついたことがありました。「これぐらい大丈夫だろう」と思ったことに限って後々厄介なことになりがちです。判断に迷った時は、誰かに相談すればよかったのです。

 

我々教員側も、働き方改革をしていきたいなら、自分たちで効率を上げていく必要があります。個々の教員がしっかりとアンテナを張って、そのアンテナで感知したことについて、解決していかなければなりません。迷った時は、主任を始め他の先生や管理職の力を借りて判断を仰ぎ、対応していく必要があるのです。

 

日頃から児童と長く接している学級担任の気付きが一番早くて、正確です。若い先生方にその気付きをどう処理していくか、私のような長く現場に勤めてきた者がしっかりと伝えていかなければならないなあと感じている今日この頃です。