小学校教員kosukedadの日記

思ったことをわりとはっきり書いていきます。毒舌かもです。

持ち込んではいけないものを持ち込んだ

小学校の児童は時折予想もしないことをする場合があります。今回はそんな話をしましょう。

 

あなたは学校に持ってきてはいけないものと聞いて何を想像するでしょうか。世代も出るかもしれませんね。私のような団塊ジュニアの世代は、駄菓子屋で買ったアイドルの写真とかブロマイド、漫画本や雑誌なんかを想像しますが、今の世代になってくるとスマホなんかになるのでしょうか。スマホに関しては持ってきても良い学校も多くなっているとは思います。

 


長年学級担任をやっていて思うのは、いつの時代もアウトローな子というのはいるものだなあということです。家庭環境に恵まれない子や友達関係の悩みなどがきっかけで、問題行動を起こしたりいじめの加害者になったりといった子が出てきます。そんな子が起こした行動について少し考えていきましょう。

 


学校にしょっちゅう持ってきてはいけない物を持ちこんで友達に見せたり一緒に遊んだりする高学年児童A。これまでは道で捕まえた動物を持ってきたり、家からお菓子を持ってきて友達と食べたり、スマホを持ち込んでトイレでゲームをするなど幾度となく指導されていた。そんなAがある日、タオルでぐるぐる巻きにした刃物を持ち込んでいた。机の道具箱に入れていたので、ランドセルから出したことになる。Aは「間違えて持ってきました」と言った。

 

 

 

これまでもわかっていてダメな物を持ち込んでいたAですが、レベルの違うことをしでかしました。担任は驚いて学年主任へ。学年主任はすぐに管理職へ相談します。管理職はすぐにAから話を聞き、なぜそのようなことをしたのか問いただすことになりました。

 


これまでも数々の問題行動を起こしていたA。管理職が指導をする場面もあり、どういう子かは大体の職員が共有していました。校長が問いただすと、彼は「みんなをびっくりさせたくてやった」と言いました。その対話の中で、彼からはまずいことをしたという反省の色も見えたようです。その後は保護者に連絡して事実関係を伝え、これからも学校と家庭とで継続して指導していきましょう、という話になりました。母一人子一人の母子家庭であり、母は大変ショックを受けていたようですが、帰り際、息子の肩を抱いて帰る母の様子を見ていると、しっかり見ていくぞという意志のようなものが感じられ、胸を撫で下ろしたのでした。

 


とまあここまでが今回の話の概要なのですが、例えばこの話を立場が違った状態で聞くとどうなるか、というのが本題です。

 


Aとその保護者、この2人にとっては今回の指導は良かったのかもしれませんが、自分の子どものクラスに刃物を持ち込んだ子がいる、と聞いた同じクラスの子の保護者はどう思うでしょうか。「そんな危ない子は学校に登校させないで下さい」「同じクラスにしないで下さい」などという要求は暴論でしょうか。私は決してそうは思いません。なぜなら学校生活で最も大切なのは児童の安全の確保だからです。自分の子どもがその学級に通っていたらと考えるとゾッとします。

 


今回のケースでそのような保護者からの話はありませんでした。が、これは責任が学校側に降りかかってきてもおかしくないケースなのです。愛知県の学校で同じように刃物を持ってきて生徒を負傷させるという事案があったときに、実は生活満足度調査で要注意だったことを放置していたというケースがあり、責任問題に発展することがありました。

 


つまり、学校がやるべきことは、児童の安全に関する事案が発生した時には、その本人を諭したり正しい道を示唆したりすることも大切ではありますが、それと同時に、するべき検査をしたり専門機関の手を借りて対処したりすることが必要ではないかということです。何か起こってからでは遅いからです。そしてそういう方向性で行くのだということを、保護者に伝えるべきなのではないでしょうか。学校も、市町村も、県も、国も。

 

そうすれば家庭での教育や保護者の姿勢がより問われ、緊張感を持って学校に送り出すことになると思います。家庭教育がなっていなければ、自分自身の身に不都合なことが起こることになりますからね。

 


いじめのケースでも似たようなことが言えると思います。いじめの被害者が不登校になり、加害者は毎日楽しく学校に行く。よく考えると理不尽です。した側が出席停止になれば被害者は安心して学校に行けるのです。(一概には言えませんが)

 


日本のどの児童にも同じような教育をさせ、同じような能力を育てるという時代はもう終わろうとしています。学校に行かなくても勉強はできますし、知識も得ることができる時代です。だからこそ保護者の顔色を窺ってばかりの学校というものから脱却できるのではないでしょうか。