小学校教員kosukedadの日記

思ったことをわりとはっきり書いていきます。毒舌かもです。

入学式の裏側の話

入学式の時期となりました。

 

少子化が進んでいるとはいえ、小学校、中学校、高校、それ以上の学校と、4月に入学を控える子がたくさんいます。

 

親にとっても、我が子の入学というのは格別の思いがあるでしょう。

 

さて、そんな入学式にまつわる出来事を例にしながら、学校はそこから起こり得るリスクなどを色々考えているのだということについて、お話しできればと思います。

 

 

小学校の入学式では、多くの場合、在校生の歓迎の言葉や発表があります。新6年生の代表の児童が挨拶をしたり、新2年生が呼びかけや歌、ダンスを披露したりして、「学校にはこんな楽しいことがあるよ」「困ったら自分たちが助けてあげるからね」という内容を伝えるのです。

 

先日、私の学校にこんな問い合わせがありました。

 

「うちの子が入学式で2年生の代表として発表するのだけど、それを入学式で見ることはできませんか」

「一緒に発表する子のお母さんも同じことを言っていて…」

というものでした。

 

どう思いますか。

 

 

結論からいうと、この2年生の保護者の入学式への参加はお断りしました。

見たいという保護者の気持ちはわかるのですが。

 

 

ではなぜ断ったのでしょうか。

 

 

一つは単純に入学式は新入生のための式であり、2年生はそれを盛り上げる脇役であるということです。

 

入学式は2年生のためのものではありません。あくまで新入生が主役です。

代表の児童が10人選ばれて、その保護者が10人見学に来たとしたら、入学式の雰囲気が少し変わりますよね。

準備の負担も大きくなりますし、何より入学式という行事の持つメッセージがぼやけたものになってしまうのを避けたいのです。

 

二つ目は、もし保護者の参観を許可した場合に考えられることについてです。

 

発表する2年生は、昨年度の1年生の担任から選ばれています。この選ばれる過程が保護者に伝わっているかというと、おそらく伝わってはいないでしょう。そうすると、「なんでうちの子は選ばれなかったんですか」とか、「どういう規準で選んでいるのか説明してほしい」となる可能性があるのです。

 

こういったことは他の行事でも考えられます。一つ許可をすると、次々に起こる可能性があるのです。学年や学級の代表を選ぶということは意外にたくさんしています。ですから、保護者が参観する行事については、バランスを見ながら偏りがないように年度始めの段階で役割分担を決めている、という学年もあります。特に6年生なんかはそうですね。

 

代表を選ぶ際には、選考過程を説明できるように考えています。何でもかんでも保護者の参観を許すようなことになると、学級担任の負担は相当大きなものになってしまうのです。

 

今回は、

「学校だよりで発表で活躍している様子をできるだけ伝えるようにします。ビデオ撮影もしていますから、必要であれば後でそれを見ることもできますよ。主役はあくまで1年生なので、ご理解ください」

と管理職が言って、お断りしました。

 

ほんの些細なことのようですが、学校にはさまざまな保護者がいます。

クレーマーまがいの保護者もいます。

そういったすべての保護者のことを考えながら、学校を運営しているのです。

 

それが結果的には、活動の幅を狭くしていってしまうことにつながる、とも言えるのです。