これまではコロナ禍でやりたくてもできなかったことを、少しずつ緩和していこうという動きが出てきています。
これは学校現場にも言えることで、私の勤務する学校でも、ここ数年はできなかった集会活動をしようという流れになっています。実際にはまだ実現してはいませんが。コロナが始まって2年以上経ちますから、これまで全く全校で集まったことがない児童もそれ相応の数になっている中、感染が落ち着いたらすぐに始めようとしているのです。
さて、話は一旦変わって、学級でも自分勝手に立ち歩いたり、おしゃべりをしたりする児童っていますよね。そんな児童にどんな指導をしているでしょうか。
もちろんその子の実態もあるとは思います。
例えば発達障害があるとか、家庭的に問題があるとか、児童本人に原因がある場合。これは担任だけでなく、管理職やカウンセラーなどの専門家などさまざまな人が関わり、家庭と連携を取りながら、どんな方法が適切かを考えていくことになるでしょう。
そうではなく、学級の雰囲気や担任の指導力に原因がある場合もあると思います。
今回はこの場合について考えていきましょう。
低学年はともかく、中学年から高学年にかけてはこれが原因になって、学級が乱れているケースをよく見ます。
このような児童に対して私が指導にあたる時に心がけているのは、「自分の生活に置き換えて考えさせる」ということです。これはある程度どんな児童にも効果があると思います。
先程の集会の話に戻しましょう。集会活動で多くの児童が集まると、指導が行き届かなくて勝手な行動を取る児童がいたりします。
そんな子にはこんな話をします。
「あなたのようなそういう行動を取っている人が日本中にたくさんいるようになったらどうなると思う?」
その子が例えばサッカーを好きだとしましょう。
「勝手な行動を取る人が増えると、一度に集めることが難しくなります。今まで1000人集めていた競技場でも、100人しか集められないとなるかもしれない。プロは観客からチケットを買ってもらってそこから給料が出るわけだから、これではプロは成り立たない。サッカー競技自体が廃れていくかもしれないね。あなたはそれでもいいと思っているの?」
だいぶ飛躍している部分はありますが、自分の好きなものに置き換えて考えさせるようにしています。これがジャニーズでも、K-POPでも、お祭りでもいいわけです。児童自身の好きなものに当てはめればいいのです。
そして、今の自分の行動が将来自分が損をすることにつながるかもしれないということを考えさせるのです。
「自分一人くらい」が何千人、何万人になったら、どうなるか想像させるのです。
強い指導で言うことを聞かせるという方法は、もうできない時代になっています。そこで私たち教員に求められるのは、自分の責任で物事を決めているということを自覚させることだと思うのです。
自覚した上で決めているのか、それを両親を含めた全ての人に知られてもいい覚悟でその行動に出ているのか、それを毅然とした態度で問うのです。
年々、自分の感情を抑えられない児童が増えているように感じます。これは増えたのではなく、元々一定数いたけれど、前までは強い指導で抑えられていた、と私は考えています。
今はそうではなく、モチベーションを上げることが必要なのだと私は思います。
普段の授業ではだらしないのに、参観日になると良い姿勢になったり、運動会の行進を本番だけ張り切ったりする児童がいるでしょう。それは家族が見ているという、モチベーションが上がる材料があるからです。
日常の活動でも、教員の声がけで、モチベーションを上げるような工夫が大切になってくるのだと私は思っています。
私の場合の一例を紹介しましたが、モチベーションを上げるためには多様な方法があるでしょう。全く別のアプローチもあると思います。
大事なのは、児童が「やんなきゃ!」って思わせるために、どんな声がけをするか教員が常に考えることではないでしょうか。