学級経営がうまくいっているかそうでないか、さまざまな場面でそれを窺い知ることができますが、はっきりと確認できる場面があります。
それが写真撮影の場面です。
写真撮影といっても、スナップ写真ではなく、集合写真ですね。
年度末も近づき、私の勤務する学校でも、今年度の記念として学級写真を撮影しているのですが、集合写真を撮る場面での、児童の動きや担任の指示などで、本当に学級の姿が見えるのです。
例えば、並び方に対する担任の指示の仕方で、学級経営の方針が見えてきてきます。
とても具体的に指示し、一人一人の位置を指名しながら並べる担任。
はっきりと指示せず、だいたい3列で並びなさいと指示する担任。
前者はしっかりと子どもたちを管理している感じを受けますし、後者は寛容な感じを受けるかと思います。
これはあくまで担任の方針であって、うまくいっているかどうかは、その後の子どもたちの動きを見ればわかるわけです。
具体的に指示をしても、その通りきちっと並ぶ学級もあれば、なかなかできない学級もあります。
担任の指示がしっかり通る学級とそうでない学級の差がここでわかります。
ただ、具体的な指示が多すぎる、指示をしすぎている学級の児童は臨機応変に対応できない場合があります。写真屋さんがこうして欲しいといった時に、児童が動くことができず、担任がこう動きなさいと通訳して始めて動ける、というようなこともあります。
具体的に指示しているのに、なかなか並べない学級もあります。
こんな学級は危険信号です。指示が通らないということは、勝手な行動をしている子がいますし、誰の話を聞く場面なのかということがわかっていません。ちゃんと並ぼうとしている児童の戸惑っている顔がよく見えるのです。
さて、担任が並び方をはっきりと指示しない学級はどうでしょう。
写真屋さんが必死になって並び方を説明しているのに、話を聞いていない児童が多く、なかなかきちんと並べない。こんな学級は最悪ですね。
担任の指導力の至らなさや放任主義が、悪い方向に明らかに作用しています。管理職や他の教員の力を借りてテコ入れする必要がある学級と言えるでしょう。
並び方をはっきりと指示しないのに、素早くきちんと並べる学級。
これは理想的です。
まず、子どもたち自身が何をすべきかをしっかりとわかっています。担任がいちいち細かいところまで指示しないと動けないようでは単なるロボットです。自分でどうすべきか考えているというところが良いですよね。
また、こういう学級はどんな人の話もきちんと聞けます。ですから、写真屋さんの細かい指示もしっかり聞いて、素早く隊形を直すことができるのです。
学校の先生というのは基本的に話すプロですから、子どもたちにわかりやすく伝わるように上手に話します(話の長い先生も多いですが)。ですが子供がそれに慣れすぎてしまうと、あまり人前で話すことに慣れていない方(地域の方など)の話をしっかりと聞くことができないということが起こるのです。
このように、子どもたちに常に考えさせながら物事に取り組ませているか、そうでないかも写真撮影という一コマでわかるということなのです。
写真撮影はこの他にも、
終わった後に自然に挨拶できるかとか、
みんなが自然に笑顔になれるかとか、
誰と並んでも良いという人間関係ができているかなど、
さまざまな面で学級経営を映す鏡のようなものだと思います。
たかが写真、されど写真なんですよね。