今回は児童相談所について話題にしたいと思います。
児童相談所(略して児相)とは、いったい何をするところなのでしょうか。
児童相談所は、大きく分けて3つの機能に分類できるかと思います。
①相談機能
②一時保護機能
③措置機能
相談機能とは、子育てに関する悩み全般の相談を受けるというものです。何らかの理由で養育が困難な場合や、発達障害・非行に関する相談、不登校など育成に関する相談などを受けます。
一時保護というのは、虐待などから子供を守るためや、子供を家庭から離して保護する必要のある場合などに行われるものです。
措置というのは児童福祉司や児童委員などが訪問して指導したり、養子やケア目的の委託などの措置を行ったりというものです。
私も専門ではありませんので、詳しくは述べませんが、難しい判断を迫られる施設であることはいうまでもありません。
では、なぜここで私が児童相談所の話題を挙げたのかということです。
それは私自身が、問題を抱えた子供、もしくはその家庭の保護者や家族を相手にするなら、対応をもう少しよく考えてよ、という経験をしたからです。
これは自分の地域の児童相談所での話ですから、どこの児相も一概にそうだとは言っておりませんのでそこはご理解ください。
私の勤める学校に、母親に育児を放棄され、祖父と暮らしているものの自分の管理が全くできない状態の高学年児童がいました。
祖父の指導は聞かず、学校でも全てに投げやりの状態で、これまでも家からお金を持ち出して豪遊したり、家出をしたり、何をしでかすかわからない状況でした。
その後警察沙汰になるような問題もあり、児童相談所が入ることになります。
一時保護するということになったのですが、児童は断固拒否。結果祖父の下で自宅で過ごしつつ、定期的に児相が様子を観察するということになりました。
流れ的にはこんな感じなのですが、私が問題だと感じるのは、結果ではなく、児童相談所の進め方なのです。
この案件を担当の若い女性職員が進めるのはわかります。
わかりますが、内容や状況によってはそれ相応の立場の方が出てくる必要だってあるわけです。
実際に私の学校では、児相が絡む案件になったことで、この件を学級担任から校長と教頭が預かり、いつでも対応できるようにしました。
児童の今後の対応について進め方を協議することになりましたが、こちらが校長、教頭で対応するのに対し、若い担当者は「それについては…ちょっと待ってください…」「今聞いてきますので…」の繰り返しだったそうです。
業を煮やした校長が、直接児童相談所を訪ね、上司にあたる方と話をするなど、こちらから動かないと動きがよくわからなかったのです。
それは当該児童と祖父に対しても同じで、説明をしっかりしないまま決定したことを進めようとして反発されたり、大事な話を電話で済まそうとして祖父の怒りを買ったりと、終始理解を得られないままでした。しかも、上司は一時保護を通達する場面でも、出てきませんでした。
学校側は児童の今後を不安に思い、児童と面談を重ね、祖父とも家庭訪問を繰り返しながら関係づくりを行ってきました。しかし今回の件で、児童相談所がそのような慎重な対応をしたかといえば、疑問が残ります。児相が児童や祖父の心理面や今後のことをもっと考えてくれたのなら、学校が積極的に入らなくても済んだのです。
今回のことでわかったのは、学校は百戦錬磨であるのに対して、児童相談所は強い権限を持つ割には、進め方がうまくないということでした。残念なのは、児童本人が「自分を変えよう」という気持ちをもてなかったということです。その気持ちをもてれば、今の現状を変えれたと思うのです。
児童相談所については、時折マスメディアでも「児相がもっと早く対応していればこんな事件は起きなかった」のように言われることがありますが、「家庭に入っていく」という仕事は判断が難しく、とても大変だと思います。
他にも業務を抱え、大変なのは理解しています。また、地方の児相などは専門職が少なかったり、人事異動が早くて引き継ぎがうまくいかなかったりと言ったことも聞きます。
ですが、とても大切な社会のセーフティネットであることに違いありません。
学校はさまざまな子供や家庭に対応するノウハウを持っています。
これは保育園なども同様でしょう。
そこで、学校教員や保育士などを含め、人事面で交流したり、定期的に会議等で情報交換したりできれば、お互いの理解も深まり、より協力した体制で進めることができるのにな、なんて思っているのです。